この漫画の最大の魅力は「話がしっかりしている」ということに尽きる。
しっかり作られているけどつまらない漫画より、めちゃくちゃだけど
面白い漫画(例:北斗の拳)の方がいい、というのは多くの人が認めること
だろう。だが、この「ダイの大冒険」はていねいに作られているのに
面白いのである。これを名作といわずして何といおうか。
まず、すべてのキャラクターたちが自分の意志のもと行動している。
当たり前のようだが、これの出来ている漫画のなんと少ないことか。
ストーリーの都合でおかしな行動をするキャラクターたちなど、
この漫画には見当たらない。
それと関連して、戦闘能力至上主義からの脱却という美点も挙げられる。
弱いキャラクターたちも自分たちの為すべき事を自覚して、同じ目的のため
それぞれの戦いを続けている。弱くなったから登場できないということは
ないし、登場させるため不自然に強くする、ということもない。
そして、演出のうまさも光る。印象に残るシーンが多いのである。
たとえば名セリフを挙げてみようとする。しかし、たしかにいくつも
挙がるのだけど、そのどれもいわゆる「名セリフ」という感じではない。
ごく普通のセリフに過ぎないのだ。それまでの経緯と見せ方が、なんでもない
セリフを名セリフに変えていると言えよう。
最後に、この作品のもう一つの見所、魅力あるキャラクターたちについて
書き連ねてみる。
戦闘能力皆無であるにもかかわらず前線に立ち、その毅然とした振る舞い
と言葉がダイたちに力を与えたことも1度や2度ではないレオナ。
ダイにまるで力の及ばなかった自分にふてくされることなく、
後方支援に徹したノヴァ。
まるで主人公たちのように悩み、支えあい、戦い抜いた、ハドラーと
親衛騎団たち。
そして、ポップ。ダイと違い、読者の視点により近い、等身大の
ヒーロー。この漫画はまさに彼の物語だったとさえ言える。その忘れ得ない
活躍を並べてこの文を終える。
レベルの違う相手クロコダインに、ひとかけらの勇気を振り絞って
立ち向かう、奇跡呼ぶ友情。
初めて実戦投入したメドローア。親衛騎団の度肝を抜く。
ポップの石に勇気の光が灯る。このシーン必見!泣きます、絶対!
大魔導士としての初陣。対シグマ戦。まさに地上一の切れ者!
最後までダイの側にいた、対大魔王戦。もう、ずーっと名シーン。
「この役だけは誰にも渡せねぇ!」
そういうわけだから、みんなポップ好きだよね、ね?
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